開発許可・建築許可とは

市街化調整区域内で建築行為を行ったり、市街化区域内で一定規模以上の建築行為を行ったりする場合などに必要となる許可です。
例えば、こんな場合に必要となる可能性のある許可です。
「市街化調整区域に農地を持っているが、息子の家を建てたい」
「市街化調整区域内に店舗や診療所を建てたい」
「市街化区域にあるまとまった土地を分譲住宅の敷地として区割りしたい」
このような場合には許可を得ないと建築確認申請を行うことができず、建設業者は工事を行うことができません。

 

開発行為とは、主として、(1) 建築物の建築、(2)第1種特定工作物(コンクリートプラント等)の建設、(3)第2種特定工作物(ゴルフコース、1ha以上の墓園等)の建設を目的とし た「土地の区画形質の変更」をいいます。

 

〇「区画形質の変更」とは

区画の変更 道路などを新設・廃止・移動することにより、土地の「区画」を変更すること
形の変更 切土や盛土をして「形」を変更すること
質の変更 農地や雑種地、山林など宅地以外の土地を、宅地にすること

 

開発行為に当たる場合で、許可が必要となる場合が次の通りとなります。

 

〇開発許可が必要となる場合

 都市計画区域 線引き都市計画区域 市街化区域

1000m2以上
(三大都市圏の既成市街地、近郊整備地帯等は500m2以上)
 ※開発許可権者が条例で300m2まで引き下げ可

市街化調整区域 原則として全ての開発行為
非線引き都市計画区域

3000m2以上
 ※開発許可権者が条例で300m2まで引き下げ可

準都市計画区域

3000m2以上
 ※開発許可権者が条例で300m2まで引き下げ可

都市計画区域及び準都市計画区域外 1ha以上

 

市街化調整区域内の開発行為の場合であっても、土地の「形」の変更=切土・盛土をほとんど行わない場合、少し軽い手続きとなる「建築許可」でよい場合もあります。

 

多くあるケースは、市街化調整区域内での住宅(分家住宅・自己用住宅・既存宅など)、診療所や店舗などの建築、市街化区域内における分譲住宅の区画開発などですが、開発行為に当たるか否か、そのために許可が必要か否か、そしてその建築物を建てることができる要件があるかは許可権者となる地方公共団体により取り扱いが異なるためその都度確認が必要です。

 

また、農地において開発行為・建築行為を行う場合は、農地法上の手続きも行う必要があることから、開発許可が受付となるためには農地法の要件を満たしていること(許可見込みがあること)が求められ、特に市街化調整区域の場合農地転用と都市計画法上の許可は互いに同時許可の関係にあるため、万が一申請後に要件がないことが判明しどちらかが不許可となればどちらの許可も得ることができません

 

このため、申請前に申請者、役所双方と十分な打ち合わせを行わなくてはなりません。

 

開発許可・建築許可が必要となりそうなお悩みがありましたら、ぜひご相談ください。

 

設計資格について

従来より、都市計画法においては、1ha以上の造成設計を行う場合には、一級建築士等の設計資格を求める定めとなっておりました。
逆に言えば、1ha未満の造成設計には、設計資格は求められていなかったということです。

 

ところが、盛土規制法の運用開始に伴い、この点に大きな変化が生じております。

 

盛土規制法においては、設計資格について下記のような定めがなされました。

 

〇宅地造成及び特定盛土規制法
(宅地造成等に関する工事の技術的基準等)
第十三条 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事(略)は、政令(略)で定める技術的基準に従い、擁壁、排水施設その他の政令で定める施設(以下「擁壁等」という。)の設置その他宅地造成等に伴う災害を防止するため必要な措置が講ぜられたものでなければならない。
2 前項の規定により講ずべきものとされる措置のうち政令(略)で定めるものの工事は、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。
〇宅地造成及び特定盛土規制法施行令
(資格を有する者の設計によらなければならない措置)
第二十一条 法第十三条第二項(法第十六条第三項において準用する場合を含む。次条において同じ。)の政令で定める措置は、次に掲げるものとする。
一 高さが五メートルを超える擁壁の設置
二 盛土又は切土をする土地の面積が千五百平方メートルを超える土地における排水施設の設置

 

さらにはこの盛土規制法における設計資格についての定めは、同法内にとどまらず、都市計画法の許可である開発許可の設計資格にも影響を与えることとなってしまっています。

 

盛土規制法第15条第2項により、盛土規制法による申請が必要な行為であっても、都市計画法第29条許可(開発許可)を受けた場合には、盛土規制法の許可もを受けたものと「みなす」という規定があります(旧宅造法では「許可申請不要」という規定でした)。その裏側の規定として都市計画法第33条第1項7号で、開発許可における工事の計画が、盛土規制法の技術基準等に適合していることが求められることになりました。このことにより、排水施設を設けない開発の造成設計があり得ない以上、従来であれば1ha以上の開発許可で求められていた開発行為の設計資格が1,500m2超の開発でも必要となってしまいました。

 

弊所代表は、この改正に対応するために、令和7年度の宅地造成技術講習(全国建設研修センター主催)を修了し、設計資格(都市計画法施行規則第19号1号ト)を取得いたしました。
盛土規制法はもちろんこれまで通り開発許可のご相談にも対応可能です。

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