宅地造成及び特定盛土等規制法 (通称)盛土規制法

盛土規制法とは

盛土等による災害から国民の生命・身体を守る観点から、盛土等を行う土地の用途やその目的にかかわらず、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制する「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称「盛土規制法」、令和4年5月27日公布)が、令和5年5月26日から施行されました。
この法律が制定された背景には、令和3年、静岡県熱海市で大雨に伴って盛土が崩落し、大規模な土石流災害が発生したことや、危険な盛土等に関する法律による規制が必ずしも十分でないエリアが存在していること等があります。そこで、「宅地造成等規制法」を抜本的に改正して、「宅地造成及び特定盛土等規制法」とし、土地の用途にかかわらず、危険な盛土等を包括的に規制することとなりました。

 

ざっくりと言えば、従来は、宅地造成規制区域という限られたエリアにおいて建築物のための造成行為を規制していたところ、本法においては、極めて広範なエリアにおいて、また、建築物に限らず太陽光発電施設などの非建築物や駐車場や資材置場と利用するための造成行為、さらには、造成土の仮置きなどの一時的な土石の堆積までを広く規制対象とするものです。

 

「隙間の無い規制」を目指しており、規制エリアが極めて広いのが特徴で、従来開発許可や宅造許可なしで土地造成が行えていたケースでもこの許可申請が必要となることは増えていくものと思われます。

設計資格について

盛土規制法の設計そのものは、従来の開発許可のそれと大きく異なることはないのですが、設計資格について下記のような定めがなされました。

 

〇宅地造成及び特定盛土規制法
(宅地造成等に関する工事の技術的基準等)
第十三条 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事(略)は、政令(略)で定める技術的基準に従い、擁壁、排水施設その他の政令で定める施設(以下「擁壁等」という。)の設置その他宅地造成等に伴う災害を防止するため必要な措置が講ぜられたものでなければならない。
2 前項の規定により講ずべきものとされる措置のうち政令(略)で定めるものの工事は、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。
〇宅地造成及び特定盛土規制法施行令
(資格を有する者の設計によらなければならない措置)
第二十一条 法第十三条第二項(法第十六条第三項において準用する場合を含む。次条において同じ。)の政令で定める措置は、次に掲げるものとする。
一 高さが五メートルを超える擁壁の設置
二 盛土又は切土をする土地の面積が千五百平方メートルを超える土地における排水施設の設置

 

排水施設を設けない造成もあり得ますが、基本的に計画地が1,500m2を超える場合には、設計資格が求められることになります。

 

さらにはこの盛土規制法における設計資格についての定めは、同法内にとどまらず、都市計画法の許可である開発許可の設計資格にも影響を与えることとなってしまっています。

 

盛土規制法第15条第2項により、盛土規制法による申請が必要な行為であっても、都市計画法第29条許可(開発許可)を受けた場合には、盛土規制法の許可もを受けたものと「みなす」という規定があります(旧宅造法では「許可申請不要」という規定でした)。その裏側の規定として都市計画法第33条第1項7号で、開発許可における工事の計画が、盛土規制法の技術基準等に適合していることが求められることになりました。このことにより、従来であれば1ha以上の開発許可で求められていた開発行為の設計資格が1,500m2超の開発における排水施設の設置程度でも必要となってしまいました。

 

弊所代表は、この改正に対応するために、令和7年度の宅地造成技術講習(全国建設研修センター主催)を修了し、設計資格(都市計画法施行規則第19号1号ト)を取得いたしました。
盛土規制法はもちろんこれまで通り開発許可のご相談にも対応可能です。

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